使い方
元利均等返済の返済予定表(amortization schedule)は、固定金利ローンが回ごとにどのように返済されていくかを、毎月の支払いごとに「いくらが利息」「いくらが元金」「残高はいくら」と分解して表示するものです。月々の返済額そのものは一定(これが「元利均等」の意味)ですが、その内訳は時期とともに変化します。返済初期は残高が大きいので支払いの大半が利息に充てられ、後期は残高が小さくなるため大半が元金返済に回ります。返済予定表はこの動きを可視化します。 月々の返済額を求める式は標準的な元利均等返済式:M = P × [r(1+r)ⁿ] ÷ [(1+r)ⁿ − 1]。P は借入元金、r は月利(年利 ÷ 12)、n は返済回数。毎月:利息 = 残高 × r、元金返済 = M − 利息、新しい残高 = 残高 − 元金返済。これを n 回繰り返せば返済予定表が完成します。本ツールはこの計算を実行し、各回の内訳と年単位のサマリ(年間の利息支払いなど)の両方を表示します。 月々の返済額だけでなく予定表まで見るべき理由は 3 つあります。(1) 比較:同じ金利でも 35 年返済と 15 年返済では、月差が数万円でも総支払利息は大きく異なります。予定表を見れば総コストが一目瞭然です。(2) 繰上返済の検討:毎月 1 万円を元金に充てるだけでも、返済期間が数年単位で短縮され、利息が数百万円減ることがあります。予定表があれば、その効果がいつから「効いてくる」かを確認できます。(3) 税務計画:投資用物件のローンや事業性ローンの利息は経費計上できる場合があり、年単位の利息額がわかれば確定申告の見通しが立てやすくなります。
計算式
P = 借入元金。r = 月利 = 年利 ÷ 12。n = 月次返済回数 = 年数 × 12。M = 月々の返済額(一定)。残高は P から始まり、n 回繰り返して 1 回の返済ごとに 1 行の予定表を生成します。
計算例
- 借入 2,000 万円、年利 6%、30 年(360 回返済)。月利 = 0.5%。
- 月額 M = 2,000 万 × [0.005 × 1.005³⁶⁰] / [1.005³⁶⁰ − 1] ≈ 約 11.99 万円
- 1 か月目:利息 = 2,000 万 × 0.005 = 10 万円。元金返済 = 11.99 万 − 10 万 = 約 1.99 万円。新残高 ≈ 1,998 万 100 円。
- 360 か月目(最終):残高 0。30 年間の累計利息 ≈ 約 2,316 万円。
よくある質問
返済初期は、なぜ支払いのほとんどが利息に充てられるのですか?
利息は「その時点の残高」に対してかかるためで、返済 1 か月目の残高は借入元金そのものだからです。借入 2,000 万円、年利 6% の住宅ローンでは、1 か月目の利息は 2,000 万 × 0.5% = 10 万円。月額返済が約 11.99 万円であっても、そのうち元金返済はわずか 1.99 万円です。180 か月目(15 年目)には残高が十分減って、利息は約 6.65 万円・元金返済は約 5.34 万円となり、最終回にはほぼ全額が元金返済になります。これは銀行の意図ではなく「利息は残高に対する一定割合で発生する」という単純な仕組みの結果です。だからこそ、繰上返済を「早期に」行うほど効果が大きく、1 か月目の 1 円は、その後 30 年分の複利的な利息を消す効果を持つのです。
繰上返済を行うと予定表はどう変わりますか?
元金に充てる繰上返済を行うと、その時点で残高が一気に減るため、それ以降の毎月の利息計算が小さい残高ベースで行われます。結果として、それ以降の毎回の返済は「より多くが元金」「より少なくが利息」となり、完済が早まります。借入 2,000 万円・年利 6%・30 年返済の住宅ローンで、毎月 2 万円を元金に上乗せすると、返済期間は約 22 年に短縮され、累計利息は約 770 万円減ります。繰上返済は早ければ早いほど効果が大きく、これは利息が「その時点の残高」に対して発生するためです。なお、日本の住宅ローンでは「期間短縮型」と「返済額軽減型」の選択があり、「期間短縮型」の方が利息軽減効果が大きいのが一般的です。手数料の有無や、ネット手続きで無料となる場合があるので、契約条件を確認してから実行してください。
APR(実質年率)と本ツールに入力する金利は何が違うのですか?
本ツールに入力するのは「名目金利(nominal interest rate)」、つまり契約上の金利で、月々の元利均等返済の計算に使う数値です。一方の APR(Annual Percentage Rate、米国)/実質年率(日本)/TAEG(仏)/Effektivzins(独)は、名目金利に加えて事務手数料、ポイント、ローン関連の各種コストを年率換算で織り込んだ「実質的な調達コスト」です。APR は常に名目金利と同じか、それより高くなります。「2 つのローンの真の総コストを比較する」目的なら APR、「返済予定表を作成する」目的なら名目金利を使うのが正解。本ツールは返済予定表を作るツールなので、名目金利を入力してください。もし手元に APR しかない場合、その値で予定表を計算すると累計利息がやや過大に出ます(APR に含まれる初期費用は本来月々の返済として支払うものではないため)。
このツールはどんなローンにも使えますか?
本ツールは「固定金利」「完全に元利均等で償却」「毎月の支払い額が一定」という条件を満たすローンに対応しています。住宅ローン(全期間固定型)、自動車ローン、個人ローン、学生ローン(返済中のもの)の多くがこれに該当します。対応していないのは:(1) 元金据置(利息のみ支払い)型やバルーン返済型:元金がほぼ減らない期間がある;(2) 変動金利型:途中で金利が変わる;(3) 毎月以外の支払頻度(四半期払いなど);(4) 段階金利・ステップアップ返済・所得連動返済(米国の学生ローンの所得連動プランなど):返済額が途中で変わる。変動金利型の場合は「いま の金利のまま完済まで進んだら」というシミュレーションとして使えますが、実際の支払いは金利の動きに応じて変わります。