使い方
1RM(One-Rep Max、1 回最大挙上重量)とは、正しいフォームで 1 レップだけ挙げられる最大重量のこと。ストレングストレーニングのプログラム作成における基準数値で、多くのピリオダイゼーション系プログラムは「1RM の %」で負荷を指定します(例:80% で 5×5、70% で AMRAP)— 絶対重量ではなく % で書くことで、誰がやってもプログラムが自動的にスケールするためです。実際に 1RM を測定するのは危険で疲労も大きいため、3〜8 レップの重いセットを行い、公式で 1RM を外挿するのが一般的。精度は競技エリート以外のすべての用途で十分です。
主流は 4 つの公式:Epley(1RM = w × (1 + reps/30))が最もシンプルで引用も多く、約 10 レップまでは非常に正確、それ以上では過大評価します。Brzycki(1RM = w × 36 / (37 − reps))は思想は似ていますが高レップでやや保守的で、多くのストレングスコーチがこの理由で好みます。Lombardi(1RM = w × reps^0.10)はべき乗則のフィットで、1〜30 レップの広い範囲をなめらかにカバーします。「正解」はなく、いずれもリフター実測データに当てはめた経験曲線で、プログラミングに使う 3〜8 レップ域では誤差は 5% 以内に収まるのが普通。本ツールは 3 つすべてを表示するので、信頼するものを選んでください。
実用上のポイント 2 つ。(1) 最も正確な推定が得られるのは 3〜8 レップの試技:3 レップ未満なら公式不要(ほぼ 1RM そのもの)、8 レップ超では「筋力 vs 筋持久力」のバランスが崩れて精度が急速に低下します(20 レップのセットからわかるのは「コンディショニング」であって 1RM ではない)。(2) % 表はプログラム作成のための実用出力:90〜95% は 2〜3 レップ域、80〜85% は 5〜6 レップのワークセット、70〜75% は筋肥大の 8〜10 レップ域、60〜65% は 12〜15 レップのボリューム域。プログラムごとに使う負荷帯は違い、ストレングス系(Wendler 5/3/1 など)は 65〜95%、筋肥大系(Boring But Big など)は 50〜70%、パワーリフティングのピーキングブロックは 90% 超。目的に応じた % を選んでください。
計算式
w は挙上重量(kg、lb いずれでも可 — 公式は単位に依存しません)。reps はその重量で完遂したクリーンなレップ数。Brzycki 式は 37 レップで分母が 0 になり破綻するため、どの公式でも入力は 15 レップ以下に制限してください。% 表は選択した 1RM を 50%〜95% まで 5% 刻みで掛け、任意のレップ域でのワークセット重量を読み取れるようにしています。
計算例
- ベンチプレスで 100 kg/220 lb を 5 レップ。
- Epley:100 × (1 + 5/30) = 100 × 1.167 = 117 kg/257 lb の 1RM。
- Brzycki:100 × 36 / 32 = 112.5 kg/248 lb。Lombardi:100 × 50.10 = 117 kg/257 lb。
- 5×5 のワークセットなら 117 kg の 80% = 94 kg/207 lb。
よくある質問
どの公式を使えばいい?
大半の人にとっては Epley で十分 — 最もよく引用され、シンプルで、プログラム作成に使う 3〜8 レップ域では十分な精度。Brzycki は高レップ(8+)でやや保守的なので、「1RM を過大評価するくらいなら過小評価したい」(安全側を取りたい)派には向きます。Lombardi は 1〜30 レップを滑らかにカバーするので、高レップで試技した場合の Epley のクロスチェックに有効。正直な話、3 つとも該当レップ域では誤差 ≈ 5% 以内で、その差は「あなたの実際の筋力の日内変動」より小さい。1 つを選び、一貫して使い、トレーニングが教えてくれることに応じて調整するのが正解です。
何レップでテストするのが良い?
3〜8 レップが目安。3 レップ未満なら公式不要 — ほぼ 1RM そのものとして扱えます。8 レップを超えると、筋持久力が「制限要因としての筋力」を覆い隠し始めるため予測精度が落ちます。最も精度が出るのは 5 レップで、安全圏(最大荷重ではない)かつ筋持久力に支配されない最適点。直近のトレーニングから 1RM を割り出すなら、わざわざ「テスト」せずに「実際に行ったセット」をそのまま入力する方が良い — 例:トレーニングログに「6×185 lb」と書いてあるならそれを入力。普段のセットは「アドレナリン全開のテスト」より「通常のパフォーマンス」を反映するため、予測はむしろこちらの方が正確になりがちです。
種目によって予測 1RM が違うのはなぜ?
公式は「一般リフター集団のデータ」にフィットさせたものであり、種目ごとに「レップ経済性」が異なるためです。多くのリフターは、ベンチプレスは Epley/Brzycki にきれいに従う、スクワットは過大評価される(指定された % で公式予測より多くのレップが実際にはできる)、デッドリフトは過小評価される(中枢神経への負荷が大きく、指定された % で公式予測より少ないレップしかできない)と気付きます。解決策は、実測の 1RM を継続的にログし、種目ごとの「自分の reps→1RM 曲線」を学ぶこと。6〜12 ヶ月コンスタントに記録すれば、「スクワット 1RM の 90% で 5 レップ」は自分には可能で、「デッドリフト 1RM の 90% で 5 レップ」はおそらく無理、といったことがわかってきます。公式は「出発点の推定」であって、絶対視しないこと。